先生愛!


中に入っている説明書を見ながら,よいしょ,よいしょ,と悪戦苦闘しながら履いていく。

とてもキツいし,シワのないように伸ばすとかで,母にも手伝ってもらった。







ちゃんと履き終えると,この靴下は太ももの上まで端がきた。


「履けたっ履けた~!!」


「失礼します。」


喜んでいると,沢山の人が入ってきた。

荻田先生を筆頭とする,医師団だあぁ…!!!!!
すごい!ドラマみたいっ!

勝手にテンションのあがる私。



沢山の先生を引き連れ,真ん中に立っている荻田先生は背丈が低く,何だか……言っちゃ駄目だけど,連れ去られた宇宙人みたい…。

でもやっぱりニコニコしていて,誰よりも優しいオーラを出していた。


「昨日は良く眠れましたか?」


「まあ……はい…」

看護士さんとのやりとりと同じ様に答えた。


「今日の手術はこの医師達で行います。」
荻田先生は軽く自分のいた真ん中の場を逸れて,メンバーを紹介した。
年齢も背丈も様々な中で1番背も高く,若そうな…

そう。やつ。

尾上大輔も手術の医師団に入っていた。


ふんっ,とわざと無視してやった。

あんなやつじゃなくて,その横の人が担当医ならよかったのに…。
優しそうな,40代位の先生。
ちょい悪な雰囲気が漂うおじさま,って感じ。
おじさま好きな私には…ぴったりっ!




「では9時に。看護士がまた迎えにきますので。」

そういって,軽く礼をして医師団はぞろぞろ帰っていった。

しょうもない妄想をやめ,私と母は,お願いします,と頭をさげた。



< 101 / 274 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop