先生愛!
◆happening2:しおりVS大輔
ガラッ
いきなり入ってきた。
そう,やつだ。
尾上大輔。
「どうですか?痛みは。」
何のためらいもなく,ベッドの横の椅子に腰掛ける。
「まあ…痛いですけど…。」
ぶっきらぼうに答えた。
「そうですか。まあ,手術の事を話にきたんですけどね。」
そう言って,前髪をかきあげる。
いちいち,やつのどんな動作に,不覚にもドキッとしてしまう,私。
「出血量は予定では300mlでしたが,思ったより腫瘍の範囲が広かったので,800ml出血しました。
人間は1L出血すると危ないんですがね。まあ,輸血は若い人だと体内で反発してしまうのでしませんでした。」
淡々と話すやつ。
って…
今結構重要な事さらっといったよね!?
貧血で,あんなに頭ふらふらしたり,気持ち悪くなってたんだあ…
大量出血で死ぬときってあんな感じで目が閉じていくんだ…
手術室での感覚を思い出して,再びそう悟った。
他にも,内側の一番深い部分に患部があったから傷が深くなったとか,
予想外の出血を止めるために傷が大きくなった事や,
手術時間が予定より大幅に長く,延長してしまった事等の説明を受けた。