先生愛!



「痛み止め,尾上先生が出して下さってたので,置いとくから飲んで下さいね。」

あいつ…優しいじゃん。ほったらかしじゃ…ないんだ…



また胸がギュッ,と締めつけられた。







「あと,トイレは行きたかったら呼んで下さい。もう管抜いてるみたいなんで,車椅子乗っていってもらいますから,車椅子持ってくるんで。じゃあ,また何かあったら呼んで下さいね。あとで点滴替えにきますね。」

そう言って,田原さんは出て行った。









…そういや,トイレ行きたいかも…。


田原さんの『トイレ』という言葉でトイレに行きたい気がしてきた。

トイレはさほど近くない私も,点滴のせいか,行きたくなった。






でもさっききてもらったばっかで呼ぶのも…何かなあ…

ナースコールは何だか申し訳ない気がして押したくない。







よしっ!!自力で行くかあっ!!







…といっても簡単ではない。







まず…ベッドから降りられない…!
左手は点滴の針が刺さってて使えないし…







とりあえず右手で着ているネグリジェの端を引っ張って,左足を移動させた。







あとちょっと…







何とかベッドの端まで足を持ってこられた。

でも,足を曲げられないし,体重もかけられない…。







右足を床に下ろして,足で靴を探す。


靴を足元まで引っ張ってきて,とりあえず履く。




点滴の棒に寄りかかって,反動で立ち上がった。



「よいしょっ!!」



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