先生愛!
晩御飯を食べ終わった後,美砂は帰って行った。
辛かったと思う。
簡単には忘れられないと思う。
今の私には痛い程,その気持ちが分かる。
先生に出会わなかったら,分からなかったかもしれないけど,出会った今なら分かる。
私もいつも,嬉しさと,別れる不安とが背中合わせだから…
でも…美砂には,辛さを忘れてもらう為にも,前を向いていってほしい。
もっと素敵な人を見つけて欲しい。
そう,私は1人願った。
美砂がくれたアップルパイ…
食べようかな。
アップルパイに手をかけた瞬間…
「ちょっと,また食べてますね。駄目ですよ。」
怒った顔もちょっと可愛い。
思わずドキッとしてしまう。
罪な男,尾上大輔。
しかもいつもタイミングよく,食べようとした時登場するよね。
「今日はちゃんと食べましたよ!!ほらっ!!主食も,副食も完食!!」
そう言って,先生の顔の前で健康チェックの紙をヒラヒラさせた。
まあ,ほとんど美砂のお腹の中だけど。