先生愛!



そんなぎこちない話をしながら,かなりの時間がたった。
というか,嫌な時間は長く感じる,という一般論を実感しただけなのかも。


美砂やあゆみ達が来た時とは,正反対。


私はずっと俯いたままだった。







『お食事の準備が出来ました。歩ける方は……』


アナウンスが鳴った。


「俺,とりに行ってくるわ。」


「いいって!!おばさん持ってきてくれるんだから…」


止めても意味がなかった。
私の言葉なんか聞き入れず,スタスタ歩いていった。





本当…何なのよ…。

いきなりやってきて…今更迷惑なのよ…







忍は,配膳を持って帰ってきた。


「ほら,食えよ。」



今日は,キノコの茹でたのと,ほうれん草のお浸しに,
でた。煮物。

病院恒例だよ…







「いい。お腹すいてないし。キノコ食べられないから,忍,食べていいよ。」

下を向いたまま答えた。




「馬鹿。お前が食わなきゃ意味ねえだろ。ほら,食え。」

机の上の私の箸を無理やり渡してきた。







無理やり,キノコやほうれん草を口の中に押しこんだ。

ごめんね…キノコさん,ほうれん草さん…。
いやいや食べた食材達に申し訳なかった。


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