先生愛!
「柊お前,足が悪いんだってな。」
「はい…昨日検査に行って,左足に血管腫があるといわれて…」
「血管腫!?大丈夫なのか!?」
向かい合わせに座っている担任が,驚きに合わせて前に乗り出してきた。
「大丈夫ですっ!大丈夫です…」
両手を顔の前で振って,担任を落ち着かせた。
と,いうより自分を落ち着かせた。
深く呼吸をして,ゆっくり自分に諭すように…
「昔から足が悪くて,今まで原因がどこの病院に行っても分からなくて…この前の体育の時間に…
「あぁ!それは荒井先生から聞いたよ!!」
早く先を聞きたいと言わんばかりに口を挟んできた。
態勢も相変わらず前のめり。
改めて口を開いた。
「で…それで,駄目もとで新しい病院に行って,その時MRIをとるように提案されて…紹介された病院でとったんですが,結果が昨日届いて…
「で,血管腫だと,言われたんだな?」
また私のゆっくりな話し方に待ちきれず口を挟んできた。
「はい,そうです…でも悪性じゃないんで,心配はいらないんです。ただこれからは市内に1人だけ腫瘍の先生がいるらしいので,その先生と治療方針を話し合うんです。
その先生は午前しか診察なさらないようなので,ですから…学校をしばしば休む事になると思います…だから…皆勤も昨日で終わってしまって…」
はぁ,とため息をついた。
「休むのは全然構わないぞ。ただ…皆勤は…お前,元から消えてるぞ?!」