先生愛!



病院を1周しただけなのに,ワクワクしちゃって,どっかのテーマパークに来たみたいだった。







部屋に戻って,母と一緒にタンスに荷物を整理して入れた。


今日からここで入院かあ…!!


嬉しくて,替えたての,真っ白なシーツのひいてあるベッドに飛び乗った。




早速ベッドを動かしてみた。
きっとこんなベッドに寝られるのは最初で最後だと思うから…


頭や足,ベッドの高さを上げさげするボタンがリモコンになっている。



「頭,上げ。」

押してみると,頭が上がった。

「おぉっ!!すごいっ!!感激っ!!!」

遊具で遊ぶ子どものようだ。




色々上げ下げして楽しんでいると,


「こら,高校生のくせにみっともない!!やめなさいよ!海斗じゃあるまいしっ!」

と言って母にリモコンを取り上げられて,怒られた。


せっかくのワクワクがシュン,となってしまった。


海斗とは,私の弟。7歳。今日は友達とすいか割りに出かけているらしい。





「失礼しま―す。」
看護士さんがカーテンを開けて入ってきた。

「今から色々チェックしますね―。」
と言って,爪が伸びていないかとか,足の毛はそってあるかなど,細かい所まで調べられた。

私はまだ来たままの服でいた。
今日はズボンに,紫外線に弱い私は素足,ともいかずストキッングを履いていた。


「もう,パジャマに着替えてもらっていいですよ。」
と看護士さんが言ってくれた。


この時,この言葉に忠実に従っていたらな…


と後々,私は後悔するのだった…。



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