ライアープリンセス~偽りのお姫様~


園長先生に別れを告げ、タクシーに乗る。

振り返ることはしなかった。

目をつぶって、唇を固く噛んだ。

「夢叶様、私は身の回りのお世話をさせて頂きます竹下健斗(たけしたけんと)と申します。」

夢叶様、なんて呼ばれて変な感じがした。

これから私が行く、御園(みその)家は、そんなに裕福な家庭なのかな?

カバンをギュッと握り締めた。

「緊張していらっしゃるとは思いますが、事前にお会いして頂きたい方がいらっしゃいます。」

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