ライアープリンセス~偽りのお姫様~
確信した。
久美子様が仕向けたことだ、と。
「怪我をされた、と一言も申しておりませんが。」
久美子様の目尻が上がる。
その目付きに寒気が走った。
「あら、そうだったかしら?大事なお嬢様なら外に出さない方がいいんじゃないかしら?まぁ家の中でも同じかしらねぇ。」
そう言い残し、久美子様はドアの向こうへ消えた。
口許は緩んでいても、目は笑っていない。
私に出来ないことはないのよ、とでも言われた気がした。
気をつけなければ。
このお屋敷の中も決して安全ではないような気がした。
そして夢叶様をお守りしなければ――。