ライアープリンセス~偽りのお姫様~
「……泰明様、今日はもうこれで…。」
健斗さんが立ち上がる気配がした。
「そうだね。」
「心配ありません。夢叶様は今、混乱しているだけだと思います。」
さぁ、夢叶様と健斗さんは私の肩に手を置いた。
そしてもう片方の手から、真っ白なハンカチが渡された。
顔を覆うことも、伏せることもなくただ座って泣いていた私は、そのハンカチでやっと涙を拭いた。
ゆっくりと健斗さんに支えられるように立ち上がり、チラリと伯父様に視線を投げた。