ライアープリンセス~偽りのお姫様~
どうやって自分の部屋へ戻ってきたのかさえ定かではない。
でも健斗さんの手が私の身体のどこかに触れていた感覚はあった。
…そうだ。
そして『何かお飲物を…』と部屋を出て行ったんだ。
カップから立ち上ぼる湯気を見つめながら、健斗さんの優しさがまた感じられた。
猫舌の私のために、熱すぎないハーブティー。
…このお屋敷に来てから、初めて口にした味。
そして私の気持ちを落ち着かせてくれる。