ライアープリンセス~偽りのお姫様~
「私が知っていることはこれで全てでございます。」
頭の上から響く声で、我に返った。
「…あ、いえ、まだひとつございました。夢叶様にお伝えしなければならないことが。」
え、何?
まだ何かあるの?
健斗さんから少し身体を離し、見上げるように顔を覗き込んだ。
変らない優しい瞳。
白い肌にすっと通った鼻筋。
長い睫毛。
こんなに近い距離で、その顔を見るのは初めてだった。