ライアープリンセス~偽りのお姫様~


「私が知っていることはこれで全てでございます。」

頭の上から響く声で、我に返った。

「…あ、いえ、まだひとつございました。夢叶様にお伝えしなければならないことが。」

え、何?

まだ何かあるの?

健斗さんから少し身体を離し、見上げるように顔を覗き込んだ。

変らない優しい瞳。

白い肌にすっと通った鼻筋。

長い睫毛。

こんなに近い距離で、その顔を見るのは初めてだった。

< 179 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop