ライアープリンセス~偽りのお姫様~
第三章 偽りの再会
「夢叶様…。」
可愛らしいお名前。
夢を叶える、と書いて『ゆめの』。
ご両親の愛情の深さがにじみ出ていた。
ピクリとも動かない。
「おはようございます、夢叶様。」
少し声を大きくすると、枕に沈んでいた頭が動いた。
そして、効果音をつけるのならガバッ、と勢いよく体を起こした。
周りの状況を何度も首を振って確認する。
フウーと大きく息を吐いた。
ドアの近くにいる私に気が付くと、恥ずかしそうに枕を抱きかかえた。
「おはよう、ございます。」
夢叶様が恥ずかしがるのは、予測していた。
だから今日は距離を置き、離れた所から声を掛けた。
「おはようございます、ご気分はいかがですか?食事の用意が出来ております。そのままこちらへお越し下さい。」
それだけ伝え、部屋を後にした。