ライアープリンセス~偽りのお姫様~
……驚かない、驚かない。
異様に長さのある、黒塗りの車が私の前にドーンとそびえていても。
「おはようございます、お嬢様。」
初老の男性が深々と頭を下げ、重そうなドアを開ける。
乗れ、って言ってるんだよね。
車の中は――。
いや、ここは車の中じゃない!
『部屋』だよね!
テレビもあるし冷蔵庫まで!
イヤに沈むシートも…!
私、ここで生活できるよ!
向かい側に腰を下ろす竹下さん。
どうして~!
車で向かい合って座れるの?