ライアープリンセス~偽りのお姫様~
第五章 お見合い
突然、その話しを持って来たのは泰明様だった。
夢叶様がお屋敷に来てもうすぐ一ヶ月になる。
あまりお屋敷から出ないように、泰明様から何度も言われていた。
夢叶様は籠の中の鳥のような状態で、少しお可哀相に思えていた。
『たまには公園とかお散歩に行きたいな』
昨日のメールには、そんな言葉が並んでいた。
旦那様の体調を気遣われてのことだろう。
最近の状態はいいが、いつ最悪の状況になるか分からない。
「夢叶、会ってもらいたい人がいてね。」
部屋に入るなり泰明様はそう言った。
忙しい泰明様と、このお屋敷で会うのは久し振りだった。
「は?」
夢叶様は何度も瞬きをした。