ライアープリンセス~偽りのお姫様~
「夢叶さんは苦労してこられたみたいですね。」
優しいまなざし。
恭介さんは知っていたんだ。
私の今までのことを。
それでもこんなに親切で優しい。
「良かったですね。肉親と呼べる人達とやっと出会えて。」
チクリと胸に刺さる罪悪感。
「はい…。」
「きっと愛情をたくさん受けてこられたんですね。あなたはとても賢くて暖かい心の持ち主だ。」
…嬉しかった。
涙が出そうな程。
私のことを認めてくれた。
学園で育ったことは恥じるべきではないと、そう言われた気がした。
そして私を一人の人間として見てくれている。
悲しいほどに嬉しく、苦しいほどに心が痛んだ。