モンブラン
その日は、僕は新しいおうちになれるために
小屋の中をうろうろしてばかりやった。
ひとりぼっちって初めてやから
何してええかわからん。
あ・・・・・・
ひとりぼっちじゃないんか。
これからは
この人が、僕のお母さんになるんかな。
まだ心の中は寂しさでいっぱいやけど
いつか・・・・・・
この場所が自分の居場所やって思える日が来る。
「モンブラン・・・・・・どう?大丈夫?しんどくない?」
また来た。
ピンクのジャージ着てるわ。
派手やなぁ。
モルモットって色を見分けられるんやで。
これは、動物の中でも珍しいんやで。
あんまり僕を見つめるから恥ずかしくて、
わらの影に隠れた。
「そっか・・・・・・寂しいんかな。お母さんや兄弟と離れたんやもんな。ごめんな、モンブラン」
え、なんであやまるん?
てか、なんで僕の心わかるん?
あぁそうか。
この人、朝からずっと僕のこと観察してるもんな。
僕の考えてること、
僕の気持ちを必死で理解しようとしてる。
「クルクル」
鳴いてみた。
これは、一般的な喜びの声。
「わーー!!ちょっと嬉しい声出した!」
単純やな。
でも、めっちゃ喜んでるからまた鳴いてみる。
「クルクルクル」
今のはな、
『これからよろしくです』って
言ったんやで。