『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』

「押してみろって言ったじゃない!」


「そんなこと言ったか?」


「言った!」


「そうか。

俺の言葉を覚えてるってことは、

当然、ここにどうやって入ったかも覚えてるわけだな」


言葉に詰まる私に、陸渡は、楽しくて仕方がないと言う風に、笑った。


「ドアを押して入った?それとも引いて入った?」


「押して入った」


「ってことはぁ?

出るときはどうすればいいのかな?」


陸渡は、馬鹿にしたような口調で言うと、ドアをもう一度ばたんと閉めた。






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