『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「あの人、すごい美人さんだったね」
帰り途、花音がつぶやくように私に話しかける。
あれ、陸渡の彼女だ・・・。
いわゆる女の勘ってやつで、あのユカリって呼ばれた人が、
陸渡の本命だって思った。
もともと、陸渡を懲らしめてやろうと思って付き合い始めたわけだし、
最初から彼女がいるって分かってたわけだし、私には何の痛手もない。
・・・はずなのに。
なんだか私は予想以上に動揺しているらしく・・・。
「七海、家を通り過ぎたよ。七海!」