『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
結局必死に投げた、私の直球ボールは、打ち返してもらうこともなく、
じゃあな、
って、あっけなく見送られた。
陸渡は私を振り返ることなくユカリさんのいるアパートに
吸い込まれていく。
圭輔が立ち止まった私をチラッと見たけど、
何も言わずに去っていった。
頭が真っ白のまま、秒速10センチくらいで歩いた私を
家で出迎えてくれる人はなく、お腹だけが、ぐぅ~って私を慰めてくれる。
月とすっぽん。
顔を洗いながら自分の顔を見て、そんな言葉が頭に浮かんだ。