『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「てめぇ、なんで俺に知らせねぇ」
って、地獄の鬼も裸足で逃げ出す、低い声がふってきた。
うそっ?
なんで陸渡がここにいるの?
「花音が圭輔にメールしたんだよ。
で、俺も早く出てきた」
私の頭の中を勝手に読まないでちょ~だい!
「だからって、なんであんたが早く出てくるのよ」
「一緒に登校してる俺に何の挨拶もないとは、
いい度胸だ」
陸渡の言葉に、私が眉根を寄せたのを見て取って、
陸渡は、左側の口の端を吊り上げた。
手首を手錠のようにつかまれて、私はひきづられるように歩く。