『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
陸渡は、そんな風に私をからかったにもかかわらず、
ふんわりと私を抱きしめると、
「ごめん」
って、低くつぶやいた。
ごめん、って何が?
今のキスが?
今までの全てが?
陸渡は真剣な声をしてたけど、
このタイミングであやまられて、私は一瞬にして悲しみが復活した。
“清い関係”
の契約を破ったんだから、
これですべて終わりだ。
陸渡が私を離した隙を逃さず、
私は全力で学校へ走った。
今度は、陸渡も追いかけては来なかった。