『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
良かった、トイレに行くのに鞄持って出てて。
私は、花音に先に帰るとメールを打って、
ちょっとほのぼのした気分になった。
「で、お前は俺と二人きりになりたかったってわけ?」
いつの間にか、私のすぐ横に陸渡が立っていて。
顔を見なくても、
あいつがにやにや笑ってるのが手に取るようだ。
本当なら、好きな人にそんなこと言われて、
ドキドキするはずなのに、
なんだか、胸の中はもやもや雲が
大量発生です。