『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
陸渡は、私が口にするまで、
絶対に離す気はないらしく、この無理な体勢のまま歩き続ける。
おかしな格好のまま進んでいく私たちを、
周りの人がちら見してて。
きいいいいっ!
そんなこと私に言わせてどうしようってのよ!
とにかくこの体勢から逃れたい一心で、
陸渡の問いに答えた私。
それが、罠とも知らずに・・・。
「キ、キスしてただけだよ・・」
さっきの二人の姿が目に焼きついて離れないのに、
言葉にすると、余計リアルに思い出してしまって、
私は、耳まで赤くなる。