『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「何?俺ってそんなにいい男かな?」
ほんっと、顔は似てないのに、
性格は双子なんじゃないのか?
「とにかく乗ってよ」
「嫌です」
「じゃあ、お金返して」
海渡さんが私に向けて、掌を差し出した。
だから、ないっつってんでしょ!
私は、その手に、犬がお手をするようにちょこんと手を置いた。
もちろん、なんにもないよ、ってアピールのつもり。
・・だったのに、
海渡さんは、私の手をやさしくつかむと、
お姫様みたいに、車の助手席を開いてくれた。