『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「今ならまだ、間に合うんじゃね~の?」
もともと子分気質の俺は、最後まで意地悪をする気にはなれず、
助け舟を出してやった。
陸渡は靴を履きながら俺を振り返る。
するどいその目が、俺に何を命令してるかなんて、
長年の付き合いですぐにわかるさ。
「わかったよ。
紫は俺がフォローしときます」
俺が、イエッサーと唇を動かして、軽く敬礼すると、
陸渡は、フフン、といつもの笑みを浮かべた。
ん?
まだ何か?
「紫に手ぇ出したら、花音にちくるぞ」
って。