『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
しばらく待っても、何かされる気配は感じられない。
恐る恐る目を開くと、
「ふ~ん。何を期待してたのかな?」
陸渡は、うれしそうに、私の顔を覗きこんでくる。
うるさい!
誰が、キスされると思ったなんて言うか!
そしたら、絶対それを理由にキスしてくるんでしょ。
陸渡の考えなんて、ちくわの穴くらい良く見えるんだから!
「離してよ」
やつの策にはまらないよう、つっけんどんに言い返す私。