『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
あぁ、こんなやつのこと、
私、本当に好きなのかな?
白馬の王子様が現れないから、
やけっぱちになってない?
帰り際、
陸渡は、私の耳元に唇を寄せて、
そっと囁いた。
『そのワンピ、似合ってる。
今度のデートはそれ着て来いよ』
じゃな!
って、後ろも振り向かず走っていく陸渡。
もうっ!
何言ってんのよ!
私は、ほてった顔に手を当てて、
陸渡の背中をいつまでも見送った。