『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「うるさいぞ。黙ってろ、圭輔」
陸渡が不機嫌そうな声を出したので、花音は完全におびえている。
圭輔?
・・って、この見て見ぬふり男のことか。
類は友を呼ぶだわね。
くだらないご友人をお持ちで。
でも・・・どうしよう。
この圭輔って男、信用できるのかな。
とりあえず、花音さえこの場から遠ざければ、私は走って逃げればいいし。
足には自信のある私。
本気で走れば、そのへんの男に負けたりしない。
私は、少し迷ったけど、
「花音、先に学校行っていいよ」
と言って、花音の背中を押した。