『勧善懲彼(かんぜんちょうかれ)迷惑な俺様彼氏』
「去年別れた後は・・・、いないな」
私の言葉をどう受け止めたかはわからないけど、陸渡は、すんなり教えてくれた。
教えるから、キスさせろとか言われるかと身構えた私は、ちょっと拍子抜け。
でも、良かった♪
花音頑張れ!!
にこにこする私に反比例して、ますます深くなる陸渡の眉間じわ。
嬉しくて、そんな変化には気づいてなかった。
鼻歌なんか口ずさみながらオレンジジュースを2本買った。
圭輔には、何買おう?
「陸渡!圭輔は何が好きかな?」
そう言ったとたん、陸渡の左手が私の右手を捉えて、自販機に押し付けられた。
買ったばかりのオレンジジュースが、足元にガタ、ゴトって転がっていく。