『短編集』
トイレに入って数分。
結果を待つ間、
タツヤはずっと、あたしの手を握り、
肩を抱いてくれていた。
妊娠してたら・・
タツヤは、おろせって言うよね。
当然だけど・・。
好きな人の子供をおろすなんて、
あたしにできるのかな。
でも、
セフレのあたしのために、
わざわざ学校サボって、
家まで来てくれたんだ。
泣いて困らせるのだけは、
やめよう。
「なんか、浮かんできたぞ。」
タツヤの声を聞いて、ハッと我に返り、
検査薬に目をやると、
ピンクの線が浮かんできた。
結果は・・
「妊娠か・・。」
タツヤの低い声が、
私の耳元で囁かれた。