『短編集』
『お願い!ナナ!
タクミ君に
私の気持ちを伝えてほしいの!』
親友のマナに涙目で頼まれて、
首を横にふれなかった。
マナは、小さい頃からの大事な親友。
大人しくて、かわいい彼女は、
誰からも、愛される存在で・・、
あたしは、そんなマナを守ってあげなきゃって、
ずっとそう思ってたんだ。
マナは、小学生の頃、よく男の子にいじめられてて。
そいつらからマナを守るのは、
もっぱらあたしの役目だった。
それが、好きだからいじめる、って
男の子の習性だと知ったのは、
だいぶ後になってから。
マナはいつも、あたしの後ろにくっついてきて・・、
同い年だけど、妹みたいに思ってた。
だから、マナには言えなかった。
あたしも・・、
タクミが好きなんだってこと。