『短編集』
マナ、ごめん。
マナ、ごめん。
心の中で、何度も言いながら、
それでも、タクミへのあふれる気持ちが
止まらなくて、あたしも、自然に言葉が出る。
「あたしも。
あたしも、ずっとタクミのことが好きだった。」
泣き顔を見られたくなくて、
あたしは、両手で顔を覆う。
タクミは、そんなあたしの肩をそっと抱き寄せて、
大丈夫、と呟いた。
「マナがさ、俺の話を聞いた後、
ナナをよろしく、って言ってたよ。」
「え?」
「仲良いんだな。お前ら。」
マナ、ごめん。
あたし、自分のことばかり考えてた。
「そうだよ。
マナは、あたしの、親友だもん!」
顔を上げて、あたしは、
大きな声で答えた。