『短編集』
夜、マナの携帯に電話する。
「マナ?」
「ナナ、うまくいった?」
「・・うん。あの、ごめん。」
「あやまるのは、あたしのほうだよ。
タクミ君がナナのこと好きなの
知らなくて。
ナナも・・好きだったんだね。
そんなことにも気づかないで、
あたし、
親友失格だよね。」
「そんなことない!
マナは、あたしの、たった一人の親友だもん。」
そこまで言うと、自然に涙がこぼれてきた。
その大切な親友の好きな人を
とっちゃったんだよ、あたし。
「ナナ?泣いてるの?」
そう言うマナの声も、かすれ声だ。