『短編集』
「あのね、ナナ。
あたし、やっぱりナナの親友でよかったなって思った。
だって、2人で同じ人を好きになるなんて、
タクミ君のいい所を、お互い同じように思ってるってことだよね?
それにね、ナナは、あたしのために、
自分の気持ちを隠して、タクミ君にあたしの気持ちを
伝えてくれたでしょ?
そんなの、本物の親友にしかできないよね?
だから、あたしも、今度こそちゃんとナナの本当の親友になりたい。
ナナの恋を応援したいの。
・・だめかな?」
あたしは、ぼろぼろ泣きすぎて、言葉が出ない。
「そ、んな、の。
うれしいに、・・決まってる!
あたしこそ、あたしこそ、
マナの親友でいてもいいのかな?」
「もちろんだよ!」
携帯越しに泣きながら、
あたしたちは、そのままくだらない昔話なんかを、
長い間話した。