『短編集』
検査薬を買いに行くために
学校を休んだのに、
あたしはベッドにうつぶせになったまま、
動く気になれない。
その時、
ピ~ン、ポ~ン。
玄関のインターホンの音がした。
親は仕事に出かけていない。
無視していると、
またチャイムが鳴る。
しばらくすると、静かになり、
同時に携帯がなり始めた。
この着メロは!!
世界中でたった一人にしか
鳴らない聞き慣れた音。
私は、大急ぎで携帯を開いた。
「もしもし!」
「今どこにいんだよ?」
一番聞きたかった声に、
涙が止まらない。
「い、え、だけど・・。」
かろうじて、声にすると、
タツヤが息を切らせて答えた。
「なら、開けてくれよ。」