『短編集』
今日も、そのブランコは風に揺られている。
キィ、キィ・・。
ブランコに乗った私を、
後ろからやさしく押してくれる手は、
すでに過去のもので。
けどね、
私は、
もう、一人で、ブランコをこぐことができるよ。
誰かに押してもらわなくても、
高く、高く、
大空へ。
鳥になって羽ばたいていけるんだ。
どこまでも、未来へ向かって。
その時、
隣でブランコをこいでいる人がいればいいな。
願わくば、
それが
あなたでありますように。