◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集

空を見上げれば満天の星。

あなたが夏の星座の話を私に教えてくれたのは、去年の夏の旅行の時だった。

あの時はこんな風に別れる日が来るなんて思いもしなかった。

ずっと笑顔で続いていくと信じていた時間は、今も携帯の中で時を止めている。

何が二人を変えてしまったのだろう。

あなたは私は悪くないという。

私もあなたを悪いとは思わない。

多分一時(いっとき)交わった道が分かれていくように、私たちもそれぞれに進む道が変わってしまっただけなのかもしれない。



もう二度と乗ることの無いあなたの車。

こうしてアパートの前まで送ってもらうことも、これが最後。

助手席のドアを開け、「さようなら」と振り返った私の肩を抱き寄せ、あなたは最後のキスをした。

「…元気でな」

あなたは最後に私の大好きだった笑顔で優しく微笑んでくれた。

この笑顔がどれほど大切なものだったか、今だから分かる。

だから私も最高の笑顔で彼を見送った。

あなたの胸に、私との恋が永遠に刻み込まれる事を願って。

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