◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集
毎日飽きもせず、友達の恋や授業の事、お互いの思ったことを沢山話した。
学校の帰り道にコンビニに立ち寄り、俺の部屋で一緒に宿題をする。
いつの間にかそれが二人の日課になっていた。
俺は結構成績が良く、特に茜の苦手な数学が得意だった。
「晃、これ、わかんないんだけど…」
そういって、彼女に頼られる事が嬉しくて仕方が無かった。
「どれ?」とノートを覗き込むと、フワッと甘い匂いがする。
この香りが好きだ。
癒されると同時に、いつも心臓が早鐘を打ち出して、茜を抱きしめたくなる。
それは流石に勇気がなくてなかなか叶わなかったけれど。
それでも、付き合いだして2ヶ月が過ぎた頃、俺たちは初めて唇を重ねた。
そっと抱き寄せたとき茜は少し震えていたけれど、俺の胸に手を添え静かに受け止めてくれた。
二人の鼓動が一つの同じリズムを刻んでいるのが感じられて、とても嬉しかった。
綺麗な涙が頬を一筋滑って、茜の頬に添えた俺の手を濡らして消えていった。
部屋の窓から差し込む夕陽が長い影を落とし、二人の顔を真っ赤に染める。
恥ずかしかったけれど、何だか幸せで、顔を寄せ合い額をくっつけたままクスクスと笑ったのを覚えている。
俺は茜と二人で過ごす時間がとても大切だった。
これから先長い人生を共に歩いてゆく女性がいるのなら茜以外には考えられないと思ってた。
俺はこの幸せが永遠に続くと信じていた。