◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集
「この間の発作で、茜は今ベッドから起き上がれないほどに衰弱している。
意識もハッキリとしていない。
ただ、うわごとで君の名前を呼び続けていてね…。
私たちも君に連絡を取るべきか、実は迷っていたんだ」
「……何故、迷う必要があるんですか?
教えてくれればもっと早くに駆けつけることも出来たのに」
「君は、茜の死を受け入れる事が出来るかな? もう、茜はどんなにがんばってもそう長くはないんだよ。限られた時間、君は茜を死と共に受け入れる事が出来るかい?」
……死と共に受け入れる……
その言葉が重くて、俺は絶句した。
一気に現実がのしかかってくる。
茜が死ぬ。
俺を残して逝ってしまう。
二人で過ごした時間が思い出に変わってしまう。