◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集

私を見つめる哀しげな色の瞳は、後悔?

それとも同情?

迷うなら、何故…あの娘を選ぶの?

迷うなら、何故…私を捨てるの?

本当は行かないでと泣き伏したい。

本当は別れたくないと縋りたい。

だけどきっと、私が取り乱せばそれだけ、あなたの心は冷めていくのでしょう?


我が儘を言うのはいつもあなた。

甘えるのはいつもあなた。

あなたの前では、無理をしていつだって笑っていたけれど、本当は寂しかった。

あなたの前では、いつだって大人の女を演じていたけれど、本当は甘えたかった。

だけど、優柔不断で、気が弱くて、強く押せば流されてしまうあなたに、甘えたり我が儘を言ったりするのはきっと重荷になると思うと、できなかった。

私は、いつの間にか都合の良い、あなたの言いなりの女になっていた事に気付いていなかったのね。

あなたの我が儘にがんじがらめになって、自由を奪われていることにすら、気付かないほどに、私はあなたしか見えていなかった。


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