◆LOVERS◆ 大人の恋の短編集
彼は優しい男性(ひと)だから、私の我が儘を許してくれたの。
彼は寂しがりやだから、これ以上待つことはできないと言ったの。
彼が悪かったんじゃないの。
私が我が儘だったの。
だけど、別れてすぐに後悔したわ。
彼という存在を失って、世界は闇に包まれた。
失うまで気付かなかったって、本当にバカよね?
仕事も夢も、彼という光がなければ、こんなにも色あせてしまのだと、初めて知ったわ。
花は太陽の下でこそ、色鮮やかに咲くのだと…
木々は月の光の下では、こんなにも寂しげなのだと…
今更ながらに思い知ったの。
彼が許してくれるなら、もう一度やり直したいの。
私達、お互いに嫌いで別れた訳じゃないもの。
きっと、今ならまだ間に合うわよね?
彼はまだ、私の事想っていてくれるよね?
彼はまだ、私の事愛しているよね?
今度は迷わず一緒に行くって答えるわ。
今度はきっと幸せになるわ。
ねぇ、お月様
私達の事、見守っていてね。
あの日のように…