Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

佑は長いすに腰をかけて



「元気だった?」



ってもう一度言うんだ。



その声も、笑顔も昔のまま。



けど、長いすに腰掛ける私と彼との開いた距離が、今の私達の状況をしっかりと表している。



実桜、しっかりしろ。


自分に言い聞かせるように、私はありったけの力を込めて笑顔を作った。



「うん。元気だよ。今日は、なにかの用事?」



「あぁ。高校の創立祭が明日あって、その打ち合わせに」



「そっか~・・・それで生徒がいないんだね」



私はきっといつもならにぎやかであろう、学食や、廊下を見渡してつぶやいた。



沈黙が流れる。



もしかして・・・佑も思い出してる?あの頃のことを。



あの頃の私達。




「・・・懐かしいな」


「うん」




出た佑の声に、私は素直にうなずいていた。




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