Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

一瞬、自分が今どういう状態にあるのか、混乱した頭で考える。



重なった唇は。



元のもので。



私は目を見開いたまま、その唇を受け入れた。



唇が離れると、私の体は再び力を失って、椅子に座り込む。



「落ち着け、実桜」



静かな元の声が、抱きしめられたまま彼の心臓の音と共に耳に染み入っていく。



「俺がいるから」



元・・・。



・・・・・・・佑っ・・・。




私は弱くて。




誰かにすがりたくて・・・・・・助けて欲しくて・・・



まわした手に力を込めた。



私は・・・ただ、ずるかったんだ。








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