Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

「いや、まぁ・・・なんだ。さっきおふくろが言ってたことは気にしなくていいから・・・いやっ、気にして欲しい?・・・え?どっちだ?」



「元、変だよ」



元は思わず噴出した私の顔を振り返ってチラッと見てから、また正面に顔を戻した。



「いつでも・・・来ていいから」



「うん。おばさんも、言ってくれた・・・」



「うん・・・・・・あ~~!そうじゃなくて!」



いきなり立ち止まった元の背中に私の鼻がぶつかった。



「何?」



顔を上げると、いつもの彼らしくない、真剣なまなざしで私を見つめる元の顔があって。



私は文句を言う口が止まってしまった。



「だから・・・その・・・」



街頭の明かりの下でも、元の顔がみるみる真っ赤になっていくのがわかった。



「・・・・・・だから・・・わかるだろ?俺今、一応お前を口説いてるんだけど・・・」



・・・・・・っ!!


私の顔にみるみる血液が集まってくるのが分かる。


と、同時にこの前のキスのことも生々しく思い出された。



あの時、



「こんなの、ヨーロッパじゃ挨拶なんだよ」



って言ってたじゃない。



私は自分が意識しすぎたのが恥ずかしくなったくらいなんだから。



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