Spiral Love *桜の下でまた逢おう*
思わず顔を抑えようとした私の手を元は掴んで離さない。
「元・・・」
胸が・・・ドキドキを早める。
と、同時に頭の中に「ミオ!」って…彼の声が響いたような気がして、
私は元の真剣なまなざしから目をそらしてしまった。
一瞬間があってから、
ふっ、という元の笑った声が上から降ってきた。
そうして、元の手は、握った私の腕から降りて私の手のひらを包んだんだ。
温かい・・・。
さっきのおばさんと同じ。
「返事はいつでもいいから・・・待ってるから」
「元・・・」
待ってる、って・・・どうしよう・・・
ぱっと顔を上げた私の表情を見て分かったんだろう。
元は少し困った顔をして、
「おい、もうそんな顔すんなよ。少しは期待持たせろ」
と言って、それ以上私の言葉を聞かず、私の頭を軽くはたいて
私の手をひっぱり、先を歩いていく元。
その背中は大きくて。
なぜか泣きたくなったんだ。