Spiral Love *桜の下でまた逢おう*
そうして、彼が来ないと言う現実も、
徐々に私の中に実感として現れてくるんだ。
涙がこぼれそうになるのを、誤魔化すように一口ココアを口に含んだ。
同時に、舌の上で温かい甘さが広がる。
それは、高校時代のあの時のまま・・・。
「おばちゃんに、作り方教えてもらったんだ・・・佑さんも来るなら一緒に飲んで欲しかったんだけどな・・・」
「元・・・」
なんで、そんなに優しいの?
さっきの元の言葉、あれは冗談じゃないってわかるから。
痛みを覚えるほどの元の優しさに、自分の目からこらえていた涙がこぼれだすのを感じた。
元は、ただだまって腕を組み壁に寄りかかってうつむいてる。
見られたくない。
元には見られたくないのに。
彼を待ち望むこの涙は・・・
彼が来ないことを知ったこの絶望の涙は・・・
止まることなく頬をぬらしていく。
彼は・・・・・・もう来ない。
来ないんだ。