Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

「そっか・・・なんか不思議だな。お前に似合ってるとか言われると、本当にその気になりそうなんだよな」


「ウソじゃないよ。本当に似合ってると思う。お酒も美味しかったもん」




キキキ~~~ッ!!



その時、錆びたブレーキ音をたてて自転車がこちらによろめいた。


思わず身を固くして、目をつぶると、


自転車の人はすみません、といってそのまま走り去っていった。


は~~ぶつかるかと思った。



と気が抜けた瞬間、


私は元の腕の中に囲まれていることを感じた。


たくましい胸。


ほどよく日焼けした大きな腕。


ばかっ。


意識しすぎだって。


「元、ごめん。ありがと・・・」


と言いかける言葉は元の抱きしめる力が強まったことで、


いとも簡単に、彼の胸の中に溶けていく。


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