Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

「俺はさ、二階堂の家を守ることにようやく気づいたんだ。だから雅と結婚するのが一番理にかなってるんだよ」



「佑さん・・・マジで言ってるんスか?」



「あぁ・・・何度でも言うよ。彼女はもう元カノでしかないんだし、俺にあんまりわずらわしいことを聞かないでくれ」




振り上げたこぶしが佑さんの頬の感触を強烈に捉えた。



上がる悲鳴。



倒れたまま動かない佑さんに、俺はなぜか泣きたくなってる気持ちを抑えて息を殺し言った。



「実桜は・・・ずっと待ってたんだ。あいつが本当は別れたくないって・・・」



言いかけた俺の言葉を、佑さんは叫びにも似た大声でさえぎった。



「ミオとは!・・・ミオとは・・・もうとっくに別れてるんだ」



そうしてよろよろと腰を上げて俺を見ないまま、口の端の切れたところを手で押さえた。



「お前がすればいい」



「え?」


喉の奥からかすれた声が出る。



「お前が、ミオを守ってやればいい・・・守ってやってくれ」



そういい残して、立ち上がり歩いていく佑さんを俺は追いかけることも、声をかけることも出来なかった。



佑さん・・・


あんた・・・・。








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