Spiral Love *桜の下でまた逢おう*

「私は間違ってた。ずっと家を守らなきゃ守らなきゃって。でも、私が本当に守りたかったのは・・・・・・佑だった。けれど、私は何かを履き違えてあの子を逆に追い詰めてしまってたのね。


私は気づいてたのに。


それでも、あの時あの子に『それは違う』って言ってやれなかった。


『あなたの道を進みなさい』って言ってやれなかったの・・・。



佑はあれからますます変わっちゃったわ・・・・・・。


あの子が昔から「優しいお医者さんになりたい」っていうのを聞いてたのに・・・。そんな息子の夢をつぶすようなことを私はしてしまったの」



お母さん・・・。



佑のお母さんは、初めて少しだけ笑った顔になって続けた。



「佑、よく空を見るのね。そんな癖すら、今まで知らなかった。そんなことさえ、見ようとしなかった」



私は彼の空を見上げる姿を思い出してた。


よく「何見てるの?」って一緒に空を見上げたっけ。





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